猫のエサはどう選ぶ?おすすめの種類や食事の回数、注意点を解説
猫を飼ったら、まず必要となるのがエサです。しかし、近年はさまざまな種類のキャットフードが販売されているため、特に猫を飼うのが初めての場合は、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、かまくらげんき動物病院の院長・石野孝獣医師に、猫の健康を考えたフードの選び方と与える際の注意点について教えていただきました。
猫を飼い始めたばかりの人だけでなく、長く飼っている人も参考にできる内容になっています!
教えてくれたのはこの人!
石野 孝(いしの たかし)獣医師
かまくらげんき動物病院 院長
麻布大学大学院獣医学研究科修了。中国内モンゴル農業大学にて中国伝統獣医学(鍼灸、中医薬)を学び、神奈川県鎌倉市にかまくらげんき動物病院を開業。最新の西洋医療と伝統的な東洋医療を融合させた動物に優しい治療を実践している。
かまくらげんき動物病院
猫のエサはどのような観点で選ぶ?
さまざまな種類がある猫のエサ。
成分や形状、内容量など、実に多くの選択肢があり、価格の違いもあるため、どのような観点で選ぶといいのか、飼い猫にはどんなものが向いているのか…など、あまりよくわからないという飼い主さんも多いのでは?
猫のエサにまつわるよくある疑問を石野先生にぶつけてみました!
総合栄養食、療法食…どの種類を与えるのがいい?
猫のフードには、栄養成分や目的によって次の3つのタイプがあります。
総合栄養食
総合栄養食には、猫に必要な栄養素がすべて配合されています。
総合栄養食は猫に必要な栄養素がバランス良く配合されています。
そのため、基本的にこれさえ与えておけば問題ありません。
療法食
療法食は、病気の治療を目的とするフードです。
療法食は、獣医師の指導にもとづいて与えるものになります。
よって、必ず獣医師の指示を仰ぎ、指定されたものを与えるようにしてください。
一般食
嗜好性の高いフードや間食用のおやつなどを一般食といいます。
厳密にいえば、総合栄養食も一般食の一種ですが、一般食の中には猫に必要な栄養素を満たしていないものもあります。
間食用のおやつも含めて嗜好性が高く、食いつきがいいのが魅力ですが、猫の健康を考えたら、やはり総合栄養食を与えたほうがいいでしょう。
猫の年齢によってエサを変える必要はある?
猫の成長ステージは、
0〜1歳…幼猫(仔猫)
1〜7歳…成猫
7歳以降…老猫(シニア)
と3つに分かれていて、それぞれの年齢に合ったフードを与えることが大切です。
仔猫の時期には仔猫用、成猫になったら成猫用のフードを与えるようにしましょう。
仔猫には多くのカロリーが必要ですが、成猫になってからはカロリーを抑えないと肥満になってしまいます。
一方、運動量が減るシニア期には、低カロリーで老化予防の効果があるビタミンEなど、シニア期に必要な栄養素が多く含まれているシニア用フードを選ぶのが望ましいです。
メーカーによっては、さらに細かくライフステージが分けられているものや、去勢・避妊手術後、猫の品種によって分かれているものもありますので、飼い猫の年齢、種類に合わせて選んでください。
ドライフードとウェットフードではどちらがいい?
キャットフードには乾燥したドライタイプと、缶詰やパウチに入ったウェットタイプがあります。
双方には下記のようなメリット・デメリットが。
ドライフードとウェットフードのメリット・デメリット
ドライフード | ウェットフード | |
---|---|---|
メリット | 少量で必要な栄養がとれる | 水分が豊富 |
デメリット | 水分が不足しやすい | 必要な栄養素をとるにはたくさん食べる必要がある 一度開封すると傷みやすい |
総合栄養食であれば、どちらのタイプを与えても構いません。
ただ、人間が与えやすいという点でいうと、ドライフードのほうが便利ではないでしょうか。
というのも、猫は犬と違って1日に何回にも分けて食事をとります。
ウェットフードだと、朝あげたものを夜まで置いておいたのでは、傷んでしまう危険がありますよね。
かといって、その都度新鮮なウェットフードを用意してあげるのはたいへんです。
なので、例えば仕事などで家を空けるときはドライフードをベースにして、家で過ごす日はウェットフードにするなど、飼い主のライフスタイルに合わせて使い分けるといいと思います。
猫は魚が好きってほんと?肉系・魚系はどちらがいい?
ドライフード、ウェットフードに限らず、猫のエサには肉をベースにしたものと魚をベースにしたものがあります。
日本では魚を好むイメージが強い猫ですが、海外メーカーのフードは肉が主流。魚を使ったものが充実しているのは、日本だけともいわれているのです。
ドライフードとウェットフードの選び方同様、総合栄養食であれば肉系・魚系どちらでも構いません。
飼い猫が好んで食べるほうを与えて大丈夫です。
ただ、肉に関していうと、トリをメインにしたフードがいいですね。
野生の猫が捕食して食べるのは鶏が多いはずですから、本来の食生活から遠くないものを与えるのが望ましいと思います。
購入するのに最適なサイズは?
猫のエサは、大袋から小分けされたものまで、さまざまなサイズが販売されています。
猫の嗜好性は味が大きく影響するため、猫にとっては常にフレッシュな状態で食べられる小分けパックが理想。
だからといって、大容量サイズが適さないわけではありません。
コストパフォーマンスを考えたら、大容量サイズのほうがお得です。
ただし、一度開封すると、日が経つごとに味が落ちて食いつきが悪くなる可能性がありますし、空気にふれることによって酸化してしまいます。
多頭飼いなら大容量を購入してもいいと思いますが、単頭飼いの場合はなるべく小さいサイズを選ぶことをおすすめします。
猫のエサは高いものを選ぶべき?安いものと何が違う?
猫のフードの値段に差があるのは、クオリティの違いです。良質な原材料を使っていればいるほど、値段が上がっていくのが一般的です。
値段が高い分、フードのクオリティも高いわけですから、猫にとっては値段の高いものを与えたほうがいいとはいえます。
ただ、家計に関わってくることですから、できる限りでいいと思いますよ。
猫のフードを選ぶときは、パッケージに書いてある原材料をチェックしましょう。
例えば、ただ「肉」「魚」と書かれているものではなく、肉だったら「鶏」「牛」のように、より具体的に使っている食材が書かれているものだと安心です。
添加物が入っている猫のエサは避けたほうがいい?
添加物というと体に悪いイメージがありますが、必ずしも避けたほうがいいわけではありません。
添加物の中でも酸化防止剤などは、フードの劣化を防ぐためにどうしても必要なものです。
これも価格帯によって、人工のものが使われているエサと、ビタミンCやビタミンEといった天然のものが使われているエサとに分かれますので、できれば天然のものを選んでください。
猫にエサを与える際に意識すること、注意することは?
猫のエサの選び方がわかったところで、続いてはフードを与えるときに気をつけたほうがいいことも石野先生に伺いました。
1日に必要なエサの量はどれくらい?
1日に必要なフードの量は、年齢や体格によって変わってきます。
また、メーカーによって1日に必要なカロリーを満たす分量も異なりますので、パッケージに表記してある分量を確認しましょう。
1日に必要な分量を守った上で、それを何回に分けて与えるかは、猫のライフステージに合わせて変えてください。
例えば、獣医師などから1日3回が推奨されたからといって、仔猫も成猫も老猫も同じ回数がいいわけではありません。
仔猫は1回に食べる量が少ない一方、多くの栄養を必要とするので数時間置きに与える必要がありますし、老猫になると1回あたりの量も全体的な量も減っていきます。
仔猫ほど回数を多くし、年をとるにしたがって少なくしていくのがいいと思います。
1回の食事で食べきれなかったエサは、次の食事にしてもいい?
一度与えたフードを長時間そのままにしておくのは避けましょう。
ウェットフードは傷みやすく、ドライフードも時間が経つにつれて酸化し、味が落ちていきます。
おいしく食べてもらうには、その都度新しいフードを出すのが理想。
残っているフードに新しいフードを足すのはやめましょう。
手作りのエサを与えてもいい?
手作りのフードだけで、猫に必要な栄養素を満たすのはとても難しいです。
手作りが絶対にNGではありませんが、極力避けるか、与え方を工夫する必要があります。
手作りのフードを与えるのは、飼い主の愛情表現でもあるので否定はしません。
ただ、毎食手作りのフードにすると、猫に必要な栄養がどうしても不足してしまうので、例えば、週6日は総合栄養食を与えて、休日だけ手作りのフードにする。
また、手作りフードにも、トッピングとして総合栄養食を少しプラスして与えるなどするといいと思います。
トータルで見たときに、まんべんなく栄養がとれていることを意識して、工夫してもらえたらと思います。
猫がエサを食べてくれないときはどうする?
猫を飼っていると、昨日まで問題なく食べていたフードを急に食べなくなるということも起こります。
病気が原因であることも考えられるため、猫の様子をよく確認し、体重が落ちてきた場合は獣医師に相談する必要がありますが、そうでなければ次のような方法を試してみるのも手です。
まずはフードを人肌程度に温めてみてください。そうすることで、フードのにおいが強くなり、猫の食欲が刺激されることがあります。
このときに注意してほしいのが、38℃以上には温めないこと。
それ以上になると、熱すぎて逆に食べなくなってしまいます。
電子レンジやフライパンでの温めは温度が高くなりやすいので、ドライヤーで温めるとちょうどいい温度になりますよ。
このほか、猫が好きなおやつをトッピングしてあげるのもおすすめです。
猫におやつは必要?
おやつは、猫にとってはもちろん、猫が喜ぶ姿が見られる飼い主にとってもうれしいもの。
しかし、与えすぎは肥満の原因にもなるので、与える際には注意が必要です。
本来、猫におやつは必要ありません。
猫におやつを与えるなら、爪切りの後や、長時間のお留守番の後、病院に行くのをがんばったときなど、ご褒美として与えるのがいいと思います。
また、フード以外のおやつを与えることで、カロリーオーバーになってしまうことも。
おやつを与えた日はフードの量を減らすなど、カロリーコントロールをすることが必須です。
猫に与えてはいけないものは?
人間の日常生活の中には、猫にとって危険なものが多く存在します。
中でも、次のような食べ物や植物には猫に有害な成分が含まれており、場合によっては命に関わることもあるので、絶対に与えてはいけません。
猫に与えてはいけないもの
基本的に、人間が食べる物は味や塩分が濃く、猫には適しません。
そのため、いくら猫が欲しがったとしても、絶対に与えないようにしてください。
植物の場合は、花や実だけでなく、葉や茎、根にも有害な成分が含まれていることがあります。
花瓶の中の水を飲んで中毒になる可能性もあるので、室内に植物を置く際は配置に十分注意するか、猫に安全な植物を選ぶようにしましょう。
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