地球にもお客様にも優しいお店を目指す、トライアルのエコな挑戦
世界共通の課題である気候危機。その解決に向けて、CO2削減や省エネ化に取り組んでいるトライアルが現在推し進めているのが、店内環境の快適化と省エネを同時に実現するプロジェクトです。
業務用冷凍冷蔵庫やショーケースなどの開発・製造を手がけるフクシマガリレイと協同して、全国各地にある店舗で取り組んでいます。
今回はこのプロジェクトに携わる、フクシマガリレイの麻生達弥さんと、トライアルのプロジェクト担当者にお話を聞きました。
店舗環境の快適化と省エネを同時に実現するために
店内環境の快適化と省エネを同時に実現するプロジェクトがスタートしたのは2016年のこと。フクシマガリレイとともに構想を練り始め、2017年から本格的に始動しました。
トライアル担当者:まず、店舗の機器や設備を省エネ自動制御するシステムを実店舗へ導入していきました。
国内の導入事例が少なかったため、本当に狙った効果があるのかと不安な部分もありましたが、実際には期待を上回る省エネ効果が生まれており、手応えを感じています。
では、実際に店舗でどのような取り組みを行っているのかご紹介していきます。
食品スーパーで最も電力を消費する設備は、身近なアレでした!
食品スーパーにおける電気使用量は冷凍冷蔵設備、照明、空調の3つが店舗全体の9割を占めており、その中でも飲料や生鮮食品を冷やしている冷凍冷蔵設備が6割もの電力を消費しています。
そこで、まず冷蔵ショーケース内照明のLED化をフクシマガリレイと進めました。
フクシマガリレイ・麻生:明るさを4段階調整できるLED照明をトライアルの88店舗に導入しました。
深夜から早朝の時間帯の明るさを40%ほど低減することで、年間の電気使用量が2万2,178Kwh削減できる見込みで、現状と比べると2.4%減となります。
意外と少なく感じられるかもしれませんが、こうした取り組みを少しずつでも進めていくことが地球環境を守るために大切なことなのです。
電力使用状況を自動制御することで省エネを実現
さらに省エネのため、フクシマガリレイが提供している店舗の機器や設備などを自動制御するエネルギーマネジメントシステム「Bems-you(ベムス・ユー)※」を全国280店舗のうち140店舗に導入しました。
※「Bems-you」はフクシマガリレイ株式会社の登録商標です。
このシステムは冷凍冷蔵設備、空調、照明を対象にシステムが電力使用状況を監視し、自動で省エネ運転指示を出して、最適化します。
例えば、これまで5〜8℃だった冷蔵ショーケースの設定温度を品質管理範囲内である10℃に上げることで年間電気使用量の削減を実現しました。実際に導入した滋賀県の草津矢橋店では、年間電気使用量を3,082Kwh削減しています。
フクシマガリレイ・麻生:Bems-youを利用して冷蔵ショーケースや照明などの運転を一元管理・自動制御し、電力使用状況を見える化することで、ピーク時の電力を自動で削減でき、電気料金の削減を目指すことができます。
冷蔵ショーケースの前が寒い…を解決!環境コントロールで、清潔で快適な店内に
省エネといえば、温度管理だけではなく湿度管理も大切な要素です。冷蔵ショーケースは低温のため、店外から湿った空気が流入すると結露やカビが発生してしまうという課題がありました。
そこで、店内の気温や温湿度を計測し、自動で換気や最適な空調温度に調整する自動制御システムを一部店舗に導入。除湿した外気を店内に送り込むことができ、結露やカビの発生を防ぎます。
店舗を陽圧化することにより、ホコリや虫の流入も防止できるので、店内をより清潔に保てるようになりました。
除湿に使用する熱源は空調の室外機の排熱を利用しているため、省エネ効果もあります。
自動制御システムの導入によって、年間電気使用量を12万316Kwh削減でき、105.8tものCO2排出量を削減することができています。
フクシマガリレイ・麻生:以前はお客様から「冷蔵ショーケースの前を通るだけで寒い」という声をいただいていました。
そこで、空調システムを導入することで除湿した空気を温めて足元に排出し、冷蔵ショーケース前のひんやり感を改善。
快適な環境でお買い物を楽しんでいただくことができるようになりました。
店内の快適性UP・省人化・省エネの3つを実現し、お客様へ還元したい
2018年には、AIが室温や外気温などさまざまな要素を分析・未来予測し、空調を自動最適化するシステム「Galilei Air-tec System(ガリレイ エアテックシステム)」を鹿児島県の鹿屋店、滋賀県の近江八幡店に導入し、2020年には福岡県の須恵店へ展開しました。
AIによる自動最適化は省エネ効果が高く、店内の快適性を向上させることはもちろん、スタッフが空調を調整する必要がないため、業務効率化や省人化も実現しています。
フクシマガリレイ・麻生:ガリレイエアテックシステムの導入によって、店舗の年間電気使用量を約10%削減できました。夏場は特に効果が大きく、約20%も削減しています。
省エネ効果が高いだけではなく、省人化や快適性の向上も兼ね備えていることから、2019年度の省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しました。
ガリレイエアテックシステムを導入したい店舗は多くありますが、現時点では新築オープン店舗への実装となっています。
今後は既存店舗へ導入するための取り組みを2社で研究し、地球環境を考えた取り組みを続けていく予定です。
トライアル担当者:トライアルはガリレイエアテックシステムやBems-youといった最新システムを活用することで、店舗の省エネや省人化を進めています。
今後はそうして削減できたコストを活かし、高品質でお求めやすい商品の開発に取り組むなど、お客様へ還元することを目指しています。
世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会を目指すトライアル。
店舗の省エネ化に協同して取り組むフクシマガリレイもまた、2050年までに生産から食卓まで脱炭素を目指す「サスティナブルビジョン Dramatic Future 2050」を掲げています。
持続可能な地球環境を次の世代へつないでいくために、トライアルとフクシマガリレイはともに歩み、行動を続けてまいります。