ハイボール缶を飲み比べ!人気バー店主が深掘って楽しむコツを指南
ハイボール人気が続きますね。ビールをしのぐか!?というくらいの勢いで、トライアルのお酒コーナーにもハイボール缶だけで何種類も並んでいます。トライアルせんべろ部のメンバーも絶賛ヘビロテ中。
「シュワッと爽快。風呂上がりのマイ定番」
「唐揚げとの相性は最高!」
「後味がさっぱりしていてするする入るよ」
といった声が。
実は、缶をきっかけに、本格派のハイボールに興味を持つ人も増えていて、ウィスキーのボトル消費量はこの10年来、右肩上がりで伸びているそうです。
それを受け、「ボトルウィスキーと聞くと途端に難しそうだ…」「私も実はそんなに知らないから、いつも同じ缶しか買わないかも」といった人もいる模様。
そこでお呼びしたのが、ハイボールの名店「ロックフィッシュ」の間口一就さん。缶飲料を入り口に、ハイボールとはどんなお酒なのか、ハイボールを深掘って楽しむコツを教わりました。
教えてくれたのはこの人!
間口一就(まぐち かずなり)さん
東京・銀座にあるバー「ロックフィッシュ」店主。愛媛県生まれ。乙女座のO型。大阪の名バーでの修業を経て、大阪北浜に「ロックフィッシュ」を開店。2002年銀座に移転。看板はハイボール。用意する500杯分が1日で売り切れることも。個性的なつまみの数々も魅力。
ロックフィッシュ
2022年注目のレモンサワー缶、9種飲み比べ!
教えて間口さん!ハイボールってどんなお酒ですか?
ハイボールとは、ウィスキーを炭酸で割った飲み方の総称で、カクテルの一種。どんなウィスキーを使うか、どんな比率で割るか、レモンは搾るのかなどによって味わいは結構変わってきます。
部員:間口さんのハイボール、感動しました。何を使ってつくっているのですか?
間口:「ロックフィッシュ」のハイボールは、「サントリー角瓶」の復刻版(現行版はアルコール40°のところを、復刻版は43°)のダブルにウィルキンソンタンサン、レモンピールで組み立てています。
部員:ドライな仕立てなのですね。最後にひとひねりしてふりかけるレモンの皮がぐっと効いていて。最後のひと口までキリリと味が締まって美味しく飲めます。
間口:グラスやボトルを氷点下で冷やしておいて、氷は入れないので味が緩まないんですよ。
部員:「サントリー角瓶」がベースになった缶も確かありましたね。
間口:「サントリー角ハイボール」ですね。まずはこの1本から試飲してみましょうか。
まずはここから、角ハイボール
間口:このハイボールの特徴を一言でいうのであれば調和です。
部員一同:おお!
間口:香りにはシトラスを主体とした果実の風味から、バニラ、ウッディ、スモークと様々な要素が広がり、味わいも、何かが突出することなく、心地良い爽やかさと同時に重厚感があり奥行きが感じられます。
部員:わー、なるほど、飲んでくうちにいろんな味や香りが出てきます。バランスがよく、味わいは緻密。泡はどうですか?
間口:きめの細かい泡ながら持続力にも長けているのも魅力。大人の味わいとも言えそうです。
部員:何と合わせたらいいでしょう。うーん、「大人」ね…。
間口:適度なオイリーさと味わいの厚みを活かすなら、とんかつとぜひ。
部員:なんと、とんかつでいいんですか!?
間口:それか、味わいの多彩さと広がりを活かすのであれば、モツ鍋とぜひお薦めしたいです。
部員:わかりやすい!イメージが湧いてきて、一気に身近になりました!
角ハイボール缶・角ハイボール缶〈濃いめ〉(サントリー)
ウィスキーの違いで味が変わる、ジムビームハイボール
間口:次は、ベースのウィスキー違いを体験してみましょう。先ほどの「角ハイボール」は、「山崎」や「白州」といった日本のモルトウィスキーがベース。対して、この「ジムビームハイボール」は「ジムビーム」というアメリカのバーボンウィスキーがベースです。
部員:モルトとバーボン?何がどう違うのですか。
間口:モルトは大麦から、バーボンは簡単に言うとトウモロコシを主原料につくられています。スモーキーさや柑橘香が特長のモルトに対して、甘く香ばしいバニラのような香りが特長ですね。
部員:この甘さがそうですね!色もちょっとグリーンぽい。
間口:はい。見た目にも涼やかですよね。味は、軽やかな仕上がりながら骨格もあって、バーボンらしい甘みも爽やかに感じられます。
部員:レモンライムのような香りも。爽やかー。
間口:流れの良いすっきりとした味わいで、野菜主体の料理とバランスが取りやすいので、ぜひ楽しんでみてください。鶏ひき肉の料理やカツオのたたきと合わせるのもおすすめです。
部員:あっさりめ、軽めの料理が合うんですね。
間口:後は、ビーフジャーキーとかスモークナッツなどと気軽に楽しむのにうってつけです。
部員:それなら簡単にできそう!
ジムビームハイボール(サントリー)
お酒の濃さでも、想像以上に味が変わる⁉トリスハイボール
間口:次に注目するのはウィスキーの濃さです。赤(普通)と黒(濃いめ)を飲み比べてみましょうか。
部員:「濃いなあ」「強いなあ」「グッとくるなあ」…だけじゃないんですか?
間口:ふふふ。まずは度数の低い赤缶から。爽やかなレモンの香り、どことなくラムネを思い出させてくれる、子供心にかえるような優しい味わいです。
部員:レモンも相まって、まさにラムネっぽい!
間口:特筆すべきはきめ細かい泡立ちとなめらかな質感。ほかのどのハイボールとも、この点が大きく異なります。これは魚介料理にぴったりではないでしょうか。焼き牡蠣や焼きハマグリなどとぜひ!タイやヒラメといった繊細な味わいの魚料理とも相性抜群です。九州ならあら鍋やゴマサバともお薦めですね。
部員:黒缶のほうは、度数が2%くらい高いんですね。色調もやや濃いめ。
間口:見た目からも味わいの厚みを予感させてくれます。香りにはウッディやスモークのニュアンスがより加わり、味わいにもややオイリーさを感じます。重くなりすぎないのは、シトラスなど爽やかな風味も感じさせてくれるから。
部員:どんとした甘さ?旨さ?もある。後をひきますね。
間口:アルコールが高めゆえの、丸みのある甘さなので、チョコレートや焼き菓子と合わせてみてください。お食事ならば豚肉の生姜焼きや餃子におすすめです。
部員:香りなどの要素の感じ方とか?違うもんですね…単に濃い・薄いだけじゃないんですね。
トリスハイボール 赤、黒<おいしい濃いめ>(サントリー)
炭酸の質感も結構大事!ウィルキンソン・ハイボール
間口:最後は、炭酸(ソーダ)に注目してみましょうか。「ウィルキンソン・ハイボール」は強炭酸ですね。グラスに注ぐと、シュワシュワと粒立ちのはっきりした泡がたくさん立ち上ります。
部員:おお、これは見た目からしてすでに、シュワッとドライなのど越しが期待できそう。
間口:ある程度時間が経過しても、しっかりとした泡立ちが持続しますね。驚きです。レモンだけでなく熟した洋梨やりんごのような香りもあり、そこにウッディな要素が厚みをもたせます。適度にしっかりとしたボディがあるので、焼き肉ならタン塩と合わせてみたいところ。
部員:タン塩か!わかるなあ。香ばしい塩焼き系ってことですね。強めの泡が続くので、お酒の持つ香りや味も次々に立ち上ってくる印象です。ずーっとドライに楽しめますね。
間口:焼き鳥もおすすめで、福岡ならぜひ鶏皮と合わせてみたいところです。
ウィルキンソン・ハイボール(アサヒビール)
試飲を終えたせんべろ部員。間口さんに拍手喝采です。
部員:この数種を飲み比べてみただけで、ハイボールのイロハがわかった気分です(笑)。
間口:缶は、本格ハイボールを知るいい入り口になりそうです。ぜひ、ここからウィスキーの世界に足をのばし、興味を持ってもらえたらうれしいです。
皆さんも、ハイボールについて深掘りできましたでしょうか。晩酌タイムが少しでも楽しく、ひと味違ったものになれば幸いです。
※20歳未満の酒類の購入や飲酒は法律で禁止されています。