「黒豆の煮方は難しい?」誰でも簡単、ふっくらツヤツヤ黒豆レシピ
おせち料理に欠かせない黒豆。上手に煮るとつやがあり、ふっくらほくほくとした食感がたまらないと人気ですね。しかし、黒豆を煮るには時間や手間がかかり、「自分で作るのはちょっと…」そんな風に感じている方も少なくありません。
そこで今回はトライアルの惣菜部門を担う明治屋運営の「料匠虎白」にて料理長を務める池本明弘に初心者向けの黒豆レシピを教えてもらいます。煮込み時間が短く、誰でも簡単に作れる黒豆レシピです。やわらかく、ふっくらおいしい黒豆を作るためのポイントを詳しく紹介します。
目次
プロに聞く!簡単にできる黒豆の蜜煮を作る3つの技ありポイント
ここからは初心者の方でも失敗しない黒豆の蜜煮のポイントをプロの料理人が詳しく解説していきます。
池本:プロの料理人は黒豆を煮るときに鉄鍋や還元鉄を使ったり、藁(わら)を燃やした灰で茹でてアクを取ったり、数時間ずっと鍋につきっきりだったりと、ご家庭で再現するのは難しい方法で仕上げています。そこで今回は初心者の方でも失敗しないポイントを中心に、ご家庭で簡単に作れる黒豆レシピを考案しました。
今からお伝えする3つのポイントを押さえれば失敗知らずなので、ぜひ試してみてください!
監修
「料匠 虎白」料理長 池本明弘
福岡の和食店での修業を始め、ミシュランガイド福岡版のお墨付き料亭「嵯峨野」で修業を積む。その後、山口県の旅館「大谷山荘」を経て、2020年に「料匠 虎白」の料理長に。四季折々の食材を使った料理を提供。
ポイント①黒豆を水に浸す時間は「10〜15時間を目安に」
池本:黒豆を煮る前に、一晩水に浸しておくことがポイントです。浸水時間が足りないと中が固くなり、水に浸しすぎると皮が割れてしまうので、10〜15時間を目安にしてください。しっかり水に浸すことで煮込み時間を短縮できます。
浸水後の黒豆を指でつまんでみて、浸す前と比べてふわっとした手触りになり、皮が少しやわらかくなっていればOKです。水に浸す場所は、常温の室内がおすすめです。冷蔵庫に入れると豆が冷えすぎて浸水時間が長くかかってしまいます。ただし夏場は腐敗防止のため冷蔵庫に入れましょう。
日本料理店では水に浸す時間は短く、煮込み時間が長い場合が多いのですが、ご家庭であまり長い時間コンロを使い続けるのは避けたいですよね。そこでご家庭では、煮込み時間を短くしても食感良く仕上げるために、浸水時間をしっかりとっていきます。
ポイント②やわらかく煮るために「重曹と塩」が肝
池本:重曹と塩があれば、やわらかくおいしい黒豆の蜜煮が作れます。重曹にはものをやわらかくする成分があるからです。ただし重曹だけ入れると皮が破れやすいので、引き締め効果のある塩も入れます。塩や重曹を加えることで味に影響はないので、心配はいりません。
重曹がないときは、炭酸水でも代用できます。重曹も炭酸水もないときは、塩だけでも入れた方が良いですが、皮が固く口に残るような仕上がりになってしまうことがあります。
また、黒豆を煮るのに錆びた釘や鉄玉がないと心配しなくても大丈夫です。それらがなくても紫がかった黒色になるだけで、家庭用であれば十分な仕上がりになります。
ポイント③じっくりコトコトはもう古い!2~3時間煮込む!
池本:黒豆の蜜煮といえば何時間も煮込まないといけない…そんなイメージがあるかもしれません。煮物の味は冷めるときに入るものなので、長時間煮込めば味がつくわけではありません。煮込む前にきちんと浸水しておけば、煮込み時間は2〜3時間ほどで大丈夫です。
ただし、早く仕上げたいからと強火で煮込むとどうしても外側がやわらかくなって中は固い状態になってしまいます。必ず弱火で煮込みましょう。
初心者でも簡単にできる!プロの日本料理人が考案した黒豆レシピ
池本:それでは黒豆のおいしい蜜煮のレシピをご紹介します。ご家庭で簡単に作れるレシピとなっていますので、ぜひ作ってみてください。
黒豆の蜜煮の材料
黒豆…200g
水…1.4L
塩…小さじ1/2杯(2.5g)
重曹…2.5g
【蜜(シロップ)の分量】
水…1L
上白糖…600g
黒豆の蜜煮の作り方
1. 黒豆を洗う
ザルに黒豆を入れて、水でざっと洗います。黒豆の周りについた汚れを落とすためなので、軽く洗い流す程度で十分です。
2. 10時間ほど水に浸す
ボウルや鍋に黒豆を入れてたっぷりの水に浸します。浸水時間の目安は10〜15時間ほど。黒豆の蜜煮を作る前日の夜から一晩水に浸けて、翌朝煮込むとスムーズで良いでしょう。ゴミが入らないように蓋をして浸してください。
3. 鍋に黒豆と水を入れて火をつける
黒豆を浸しておいた水で茹でるのではなく、新たな水に入れ替えましょう。ポイントは、必ず落とし蓋をすること。黒豆が空気に触れてしまうとしわが寄るので、厚手のキッチンペーパーなどで落とし蓋をして茹でていきます。
外蓋をしてしまうと、鍋の様子がわからず吹きこぼれてしまうこともあるので、外蓋ではなく落し蓋で煮込んでください。
4. 沸騰したら弱火にする。重曹と塩を加えて、数回かき混ぜる
沸騰したら弱火にして重曹と塩を加えます。
混ぜるときは木べらやしゃもじを使って、鍋肌からそっと差し込みながら混ぜると黒豆を傷つけません。
お玉を使うと黒豆が潰れてしまう恐れがあります。また、混ぜすぎると黒豆が潰れたり空気に触れる回数が増えてしわが寄ったりするので混ぜすぎないようにします
5. 弱火のまま2~3時間加熱する
黒豆の芯までやわらかくするために、必ず弱火で煮込みます。泡はあまりボコボコさせず、気泡が立つぐらいが目安です。空気に触れるとしわが寄るので落とし蓋をしたままで、黒豆がお湯から顔を出さないような水位をキープします。
お湯が減ってきたら、蛇口のお湯をそっと足してください。その際に冷たい水を足してしまうと急激な温度変化が起きて、しわが寄ってしまいます。黒豆は一度しわが寄ってしまうと元には戻りません。
「途中でアク取りをした方がいい?」と気になるかもしれませんが、そもそも黒豆はアクがあまり出ないこと、あとで水にさらすときにアクは流れることから、煮込んでいるときのアク取りは不要です。
1時間ごとに黒豆を1粒つまんで固さを確かめてみてください。好みの固さになったら火を止めます。
職人は利き腕ではない方で黒豆を壁に向かって投げ、壁に引っついたら出来上がりの合図としています。ご家庭では手でつまんで潰れたり、1粒食べてみて芯が残っていなかったりすれば出来上がりと思っていいでしょう。
6. 茹でこぼして、ぬるま湯にさらす
黒豆が好みの固さになったら、黒豆は鍋に残したまま茹で汁だけそっと捨てます。次に鍋にぬるま湯をそっと足して、黒豆をゆっくり冷まします。ぬるま湯にさらすことで重曹や塩を抜くことができます。
ぬるま湯を注ぐ水流でも黒豆が潰れることがあるので、蛇口を鍋肌に沿わせて少しずつ注ぐと良いでしょう。
このとき冷水だと豆にしわが寄るため、必ずぬるま湯を使うようにします。また、お湯を捨てるときにザルを使うと、黒豆が潰れてしまうので要注意。
もし時間があれば、茹で汁を捨てずに鍋のまま置いて自然に冷えるのを待って、水にさらしてもいいでしょう。ただしその間も落とし蓋は外さないようにします。黒豆が完全に冷えていれば、ぬるま湯ではなく冷水にさらしてください。
一度黒豆を冷やすことで身が引き締まり、このあとに加える蜜の甘味が染み込みやすくなります。またホクホク感がしっかり残るので、食感も良くなります。プロの料理人は冷ましたあとに、しわや汚れのある黒豆がないか選別します。
7. 鍋に水と上白糖を入れて強火で加熱する
蜜を作った鍋にあとから黒豆を加えて煮込むので、黒豆が入る大きさの鍋で蜜を作ります。水と砂糖を鍋に入れ火にかけたら、木べらやゴムべらなどで常に混ぜ続け、砂糖を溶かします。砂糖の粒子が溶けて透明になったら火を止めます。
砂糖の種類はいろいろありますが、一番のおすすめは上白糖です。ザラメは溶けにくいので時間がかかったり、きび砂糖やグラニュー糖では味が軽い仕上がりになってしまったりする場合もあるので、初心者は失敗しづらい上白糖を使うのがおすすめです。
つやをしっかり出したいときは、蜜を作るときに水飴を加えるとつや感がアップし、黒豆が乾燥しません。プロの料理人の作る蜜は水と砂糖だけではなく、みりんや甘露飴など隠し味が入っています。
8. 手で黒豆をすくって、蜜の入った鍋に入れる
黒豆はすっかりやわらかくなっているので、お玉などは使わず手でそっと蜜の入った鍋に移します。デリケートなので潰さないよう注意が必要です。やけど予防のため蜜が少し冷めてから移すのが安心です。
9. 10~15分ほど弱火で炊く
空気に触れるとしわが寄るので、ここでも必ず落とし蓋をします。10〜15分ほど煮込んだら、一度味見をして物足りなければ砂糖を追加したり、甘すぎる場合はぬるま湯をいれて薄めたりと調整します。冷めるときに味がつくので少し薄く感じる程度の味付けがおすすめです。
10. 火を止め、冷めたら完成
落とし蓋をつけたまま、冷まします。完全に冷めるまで鍋に入れたまま置いておきます。豆が熱いときは潰れたり傷がついたりしやすいので、熱いときは豆を動かさないようにしましょう。黒豆を移すことで蜜が濁ることもあるので、冷めてからタッパーに移し替えます。
もっと知りたい、黒豆なんでもQ&A
Q:炊飯器や圧力鍋を使うともっと簡単に作れる?
A:黒豆を水に浸して戻すときや蜜で煮るときに炊飯器や圧力鍋を使用すると時短になる場合もあります。鍋につきっきりではなくていいから簡単だと思われるかもしれませんが、お使いの炊飯器や圧力鍋の機種によって煮込み時間が異なるので注意が必要です。
Q:甘くない黒豆の作り方って?
A:甘くない黒豆が作りたい方は、蜜の砂糖の量を調整してみましょう。工程は何も変わらず、蜜の濃度を変えるだけでお好みの甘さの黒豆の蜜煮が作れます。
【薄蜜の材料】
水…1L
上白糖…300g
【中蜜の材料】
水…1L
上白糖…600g
【濃蜜の材料】
水…1L
上白糖…900g
プロの料理人は、薄蜜・中蜜・濃蜜と蜜を3段階に分けて漬けています。甘さ控えめが良い方は薄蜜、ガツンとくる甘さを求める方は濃蜜がおすすめです。濃蜜は煮豆以外にも栗の渋皮煮にも使えるものなのでアレンジしやすいです。砂糖の分量を調整して、ぜひご家庭の好みに合った甘さを見つけてみてください。
Q:おいしい黒豆の選び方とは?
A:スーパーで黒豆を選ぶときには、大きくてつやや張りがあるものを選ぶのがポイントです。粒が大きいものを選ぶと仕上がりが美しく食べごたえもあります。
黒豆はつやの程度や粒の大きさなどが評価基準となってランクづけされています。有名な品種といえば兵庫県が発祥の黒豆「丹波黒」。サイズが大きく黒豆の王様と呼ばれています。
Q:黒豆の保存方法を教えて?
A:タッパーに入れて、冷蔵庫で保管しましょう。たっぷりの蜜と一緒に浸すと味がしっかり入ります。ご家庭で作った黒豆の保存期間は、一般的には冷蔵で5日間程度、冷凍で2ヵ月程度が目安です。なるべく早めにお召し上がりください。煮豆以外にも当てはまるのですが、料理は冷めるときに味が染み込んで馴染みます。黒豆も作った当日よりも冷蔵庫で冷やして翌日に食べるのが一番おいしいですよ。
Q:水ではなく、お湯で戻してもOK?
A:お湯でも大丈夫です。ただしすぐに冷めて水になってしまうので、わざわざお湯を用意しなくても構いません。
Q:黒豆にしわが寄らないためには何が必要?
A:しわが寄らないためのポイントは2つです。1つは黒豆を空気に触れさせないようにすること。そのために必ず落とし蓋をしてください。もう1つは、急激な温度変化に気をつけること。急に冷やすとしわができてしまうので、ぬるま湯や自然冷却で冷まします。黒豆が冷めてしまえば、しわは入らなくなります。
Q:黒豆の後味が渋くなる原因とは?
A:黒豆の後味が渋くなる原因は、アクが抜けていないこと。このレシピでは茹でるときに重曹を入れるので、ある程度アクは取れています。さらにきちんとアクを抜くためには、茹でた後にぬるま湯にさらす工程をしっかりと行います。黒豆を洗うときにミョウバンをまぶして一緒に炊くとさらにアクを抜くことができますが、ご家庭で作る場合は重曹だけで十分です。
おせちに欠かせない黒豆の簡単レシピ、ぜひお試しを!
以上、プロの料理人が考案した家庭でできる簡単黒豆レシピをお届けしました。ぜひおいしい黒豆の蜜煮作りにチャレンジしてみてください。
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