アジの旬は初夏!プロが教える選び方、おすすめの食べ方を紹介
夏の季語であり、多くの句に詠まれてきた「アジ」。昔から大衆魚として愛されてきた魚です。
アジは一年を通して獲れますが、旬のアジは身がふっくらとして脂がのっていて、凝縮された旨味が格別。刺身で食べても、焼いたり揚げたりしてもおいしく、さまざまな調理法で楽しめます。
そこで今回は、旬のアジをよりおいしく食べるための選び方や食べ方について、料理家の風間章子さんに教えていただきました。
教えてくれたのはこの人!
風間章子(かざま あきこ)
料理家/調理師
イタリアンレストランで6年間修行した後、カフェを立ち上げ、雑誌やウェブなど、さまざまなメディアにて料理監修で活躍。これまで、4店舗のカフェの料理メニューの立ち上げを行う。料理の技術向上はもちろん、料理の楽しさを伝えることを目的とし、料理の撮影や料理教室を開催するキッチンスタジオ「人形町キッチン」を運営。わかりやすい説明と気さくな人柄で、好評を得ている。
Twitter:@ACCO_kzm
アジの旬はいつ?
アジは一年を通して獲れる身近な魚ですが、最もおいしく食べられる旬の時期は5~7月の晩春から初夏にかけてです。
秋の立派な大型のアジよりも、この時期の小ぶりなアジにこそ旨味がたっぷり詰まっているのです。
秋のアジは、旬の時期より体が大きくなった分だけ旨味も散漫な印象に。
アジのおいしさを堪能するなら、旬を外さずに食べるのがおすすめです。
アジにはどんな種類がある?
アジには、大きく分けて「マアジ」「ムロアジ」「シマアジ」の3種類があります。
マアジ
アジの中でも、日本の食卓でおなじみなのがマアジ。北海道から沖縄まで、日本全国で獲ることができます。
スーパーの鮮魚売り場に並ぶパックの品名に「アジ」と書かれていたら、ほぼマアジを指すと考えていいでしょう。
マアジにはさまざまな大きさがあり、小ぶりのアジは「小アジ」、さらに小さいアジは「豆アジ」などと呼ばれます。
小アジや豆アジは、唐揚げ、南蛮漬けにして食べるのが一般的です。
ムロアジ
本州ではあまり獲れず、もっぱら九州地方や四国地方で獲れるアジです。
マアジに比べると、ムロアジは旬の時期でもさっぱりした味わい。
刺身として生で食べることもありますが、通常は干物などに加工されて食卓に上ることが多いでしょう。
シマアジ
黄色い縞模様があることからその名がついたともいわれるシマアジ。
シマアジは、マアジ、ムロアジのように漁獲量が豊富でなく、希少性が高いアジです。
シマアジは希少性が高いことから、値段もほかのアジよりかなり高め。
スーパーで見かけることはあまりありません。
アジに含まれる栄養素
アジはおいしいだけでなく、栄養バランスに優れた食材でもあります。
アジには、主に次のような栄養素が含まれています。
- カルシウム…骨粗しょう症予防に役立つ
- ビタミンD…カルシウムの吸収を助ける
- カリウム…体内の余分な水分を排出してむくみを解消する
- ヘム鉄…植物性の鉄分よりも吸収率が高く、貧血予防に効果的
アジに含まれる主な栄養素
何よりうれしいのは、体内では合成できず、主に食品から摂取しなければならないn-3系脂肪酸(必須脂肪酸)を豊富に含む青魚であること。
n-3系脂肪酸のうちEPA(エイコサペンタエン酸)は血液をサラサラにして動脈硬化や脳卒中などを予防し、DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳細胞を活性化させて認知症を予防・改善する効果が期待できます。
おいしいアジの選び方
スーパーでアジを見かけたら、下記の項目をチェックしましょう。
目が澄んでいる
アジに限らず、新鮮な魚は目に濁りがなく、鮮度が低下するにつれて白濁していきます。
スーパーでアジを見つけたら、黒目がはっきりわかるものを選んでください。
表面に傷がなくハリがある
傷は腐敗につながるため、あまりに多いと鮮度に不安が。漁獲時に強いストレスがかかって、味が落ちている可能性もあります。
ゼイゴ(尾の付け根の側面にあるとげ状の部分)やヒレがしっかりしていて、表面に傷がないアジを選んでください。
加えて、持ったときに重みがあるもの、体がピンと張ったものは脂がのっています。
切り身は、切り口にツヤがあって色が明るいものを
切り身を選ぶ場合は、さばいてから時間が経つと、全体が乾いて透明感が失われていきます。
そのため、切り口が赤に近い明るいピンク色でツヤがあり、身崩れしていないことを確認してください。
パックに入っている切り身は、たんぱく質や旨味成分を含んだ赤い液体(ドリップ)にも注目しましょう。
ドリップは鮮度が落ちると溜まるため、少なめのものを選ぶとおいしく食べられます。
アジのおすすめの食べ方
アジは、焼いても、揚げてもおいしく、さまざまな食べ方が楽しめる魚です。ここでは、特におすすめの食べ方を紹介しましょう。
刺身
鮮度が良く、生で食べられるアジが手に入ったら、刺身がおすすめ!
アジに含まれるEPAやDHAは加熱すると外に流れ出てしまうので、優れた栄養素を無駄なくとるためにも刺身は最適です。
なお、アジは比較的簡単にさばけるので、魚をさばいたことがない人もチャレンジしてみてください。
ただし、生の魚のハラワタには寄生虫のアニサキスがついている可能性があるため、注意が必要。
身にくさみを移さないためにも、買ってきたらすぐにハラワタを抜きましょう。
自分でさばくのが厳しい場合は無理にやらなくてもOK!
アジを購入するスーパーの鮮魚担当に、「刺身用にさばいてください」と依頼してください。
塩焼き
アジの塩焼きといえば、刺身と並ぶ定番の調理法。ですが、意外と「焼きすぎて、身が固くなる」「皮がパリッと仕上がらない」といった悩みを抱えている人が多いのではないでしょうか。
次の3つのポイントを意識すると、皮をしっかり香ばしく、身はふんわりやわらかく焼けますよ。
背の部分に切り込みを入れる
身がぎっしり詰まって厚みがある中央部分に、斜めに1本切り込みを入れます。
こうすることで中に火が通りやすくなり、皮をしっかり焼いても身が固くなりません。
尾やヒレに多めに塩を振る
全体にまんべんなく塩を振ったら、焦げやすいヒレと尾には少し多めに塩を振りましょう。
焼き上がりがきれいになるだけでなく、余分な水分とくさみが抜けて香ばしく焼けます。
魚焼きグリルを使って、ガス火で焼く
魚を丸ごと焼くときは、直火、遠火で焼くのがコツです。
アジの塩焼きは、ぜひ魚焼きグリルを使ってガス火で焼いてください。フライパンで焼くと、魚がふれている部分だけに熱が通り、全体の焼き加減にムラが出ます。
また、しっかり火を通したいからといって弱火で焼くと、旨味が外に逃げてしまう原因に。強めの中火で、焼き目がつくまで焼きましょう。
アジを使ったおすすめレシピ
次に、風間さんがおすすめするアジを使ったレシピを紹介します。
3枚におろしたアジを使うメニューですので、ご自身でさばいても、アジを購入するスーパーで3枚におろしてもらっても、切り身を買ってもOKです!
アジのマスタード香味パン粉焼き
材料(2人分)
アジ…2尾(3枚におろしたもの)
塩、コショウ…各少々
粒マスタード…大さじ2
オリーブオイル…大さじ2分の1
サニーレタス…1枚
パセリ…少々
レモン…4分の1個
[香味パン粉]
パン粉…2分の1カップ
ニンニク(みじん切り)…小さじ2分の1
パセリ(みじん切り)…大さじ1
塩…小さじ2分の1
コショウ…少々
オリーブオイル…大さじ1
作り方
1. 香味パン粉の材料は混ぜ合わせておく。アジの両面に塩とコショウを振り、下味をつける。
2. 熱したフライパンにオリーブオイルを入れ、アジを焼く。両面に軽く火が通るまで、40秒ずつ両面を中火で焼く。
3. 鉄板、もしくは耐熱皿に「2」を移し、皮を上にして並べる。皮面に粒マスタードを塗って香味パン粉をのせ、トースターで表面に焼き色がつくまで4~5分焼く。
4. サニーレタスを盛った皿に「3」を並べ、パセリとレモンを添える。
粒マスタードを塗る前にアジを焼いて、軽く火を通しておくのがポイント。
香味パン粉をまとわせてトースターで焼くと、フワフワの食感に仕上がります!
アジと夏野菜の焼き漬け
材料(2人分)
アジ…1尾(3枚におろしたもの)
ナス…1本
ズッキーニ…1本
スナップエンドウ…8本
ミニトマト…4個
片栗粉…大さじ1程度
ごま油…大さじ3
ポン酢…大さじ3
作り方
1. アジは2~3cm幅に切り、片栗粉をまぶしておく。ナスとズッキーニは1.5cmの輪切りにし、スナップエンドウは筋を取って1分程塩茹でする。ミニトマトはヘタを取る。
2. フライパンにごま油(大さじ2)を入れて熱し、中火で野菜を焼く。焼き上がったものからボウルに移す。
3. 同じフライパンに残りのごま油を入れて、アジを焼く。中火で裏返しながら焼き色がつく程度に2~3分焼き、残ったオイルごと野菜を入れたボウルに移す。
4. ボウルにポン酢を加えて全体をなじませる。
冷めると味が染みて、よりおいしくいただけますよ!
さまざまな調理法で、栄養満点の旬のアジを食べ尽くそう!
美容と健康に役立つ栄養素をたっぷり含むアジ。一年の中で最もおいしい旬の時期は、値段が手頃なのもうれしいポイントです。
刺身に塩焼き、唐揚げ、南蛮漬け、フライなど、さまざまな調理法で旬の味覚を味わい尽くしましょう。
鮮魚専門店と同等の品質にこだわるトライアルでは、地元の魚市場から水揚げされたばかりのアジを仕入れてお客様にお届けしています。ぜひ店頭に足を運んで、鮮度の良さを確かめてくださいね!
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