

亜鉛の多い食べ物とは?不足に注意したい理由やおすすめレシピ
亜鉛不足により、味を感じにくくなったり、風邪を引きやすくなったり、また皮膚のトラブルを起こしたり……。亜鉛は私たちにとって欠かせない栄養素であるため、不足することでさまざまな影響を引き起こすことが知られています。亜鉛不足を防ぐには、日々の食事が大切です。亜鉛を多く含む食べ物、レシピを知り、健康トラブルを防ぎましょう。
教えてくれたのはこの人

広田千尋 管理栄養士
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方やご高齢の方への栄養サポート、また赤ちゃんや子ども向けの食事相談など、幅広い年代のサポートに携わる。身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
公式サイト
Instagram:@chihiro_eiyo
亜鉛が不足するとどうなる?
亜鉛が不足するとさまざまなトラブルを招くおそれがあります。

そもそも亜鉛は、全身の細胞に存在し、骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに多く含まれています。体内の多くの酵素を活性化させるために必要であり、たんぱく質の合成、DNAの合成、細胞増殖などに関わっています。亜鉛がないと働けない酵素もあり、私たちにとって欠かせない栄養素です。
このように、多様な働きに関わっている亜鉛。亜鉛不足による影響は具体的にどのようなものか、詳しく見てみましょう。
1.味覚障害
亜鉛不足の代表的な影響として、味覚障害が知られています。
私たちが味を感じるのは、舌にある味蕾(みらい)の中にある、味細胞という味覚センサーによるものです。亜鉛はこの味細胞が作り替わる際に必要なのですが、亜鉛が不足すると新しい味細胞が作られにくくなってしまいます。
その結果、味を感じにくくなったり、何を食べても「甘い」「苦い」ように感じたりしてしまう、味覚障害が起こってしまうのです。
2.免疫機能の低下
亜鉛は多くの酵素に含まれており、免疫細胞を活性化させるために大切な役割を担っていることがわかってきています。
亜鉛不足により免疫細胞がうまく働かないと、侵入してきたウイルスや病原菌に対する抵抗力が低くなってしまい、さまざまな影響を引き起こすおそれがあります。
3.成長障害

亜鉛はたんぱく質、DNAの合成や、細胞が増える際に欠かせない役割があり、妊娠中や成長期に必要な栄養素です。
そのため亜鉛が欠乏すると、体重増加不良や低身長など、子供の成長の遅れにつながる可能性が知られています。
4.傷が治りにくくなる
亜鉛は皮膚のターンオーバーに関わっており、傷の治りを良くすることが知られています。
亜鉛の欠乏により、傷がなかなか治らない、傷跡が残ってしまうといったトラブルにつながるおそれがあります。
5.性機能低下
亜鉛不足により、思春期の性的発達の遅れや、男性の性機能低下が起こることがあります。また亜鉛は精子の形成に関わることもあり、体内の亜鉛が不足することで精子減少が起こる可能性も知られています。
亜鉛の摂取量は不足しがち
亜鉛の平均的な摂取量は不足しがちです。まずは1日に必要とされる亜鉛の量を見てみましょう。
亜鉛の1日の推奨量
- 男性(18~74歳):11mg
- 女性(18~74歳):8mg
上記に対し、厚生労働省「令和4年 国民健康・栄養調査」による20歳以上の平均的な亜鉛摂取量は男性9.1mg、女性7.7mgとなっており、不足しがちぎみであるといえます。
亜鉛不足は、消化器の病気により吸収が低下して起こる場合もありますが、食事の偏りやお酒の飲みすぎでも起こる場合が知られています。
亜鉛は体内に貯蔵できるシステムがないため、毎日続けて摂取することが大切です。次に紹介する亜鉛の豊富な食べ物や飲み物を意識して取り入れましょう。
亜鉛の豊富な食べ物や飲み物

亜鉛は、魚介類、肉類、乳製品、種実類、大豆製品、飲み物ではココアに豊富に含まれています。
亜鉛の豊富な食べ物
食品名 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
牡蠣 | 14.0mg |
ピュアココア(粉末) | 7.0mg |
ごま | 5.9mg |
牛ひき肉 | 5.2mg |
アーモンド | 3.7mg |
アサリ水煮缶 | 3.4mg |
プロセスチーズ | 3.2mg |
豚肩肉(脂身つき) | 2.7mg |
クルミ | 2.6mg |
納豆 | 1.9mg |
豚ばら肉 | 1.8mg |
厚揚げ | 1.1mg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
中でも、牡蠣の亜鉛含有量はずば抜けて優れていることがわかります。亜鉛不足が気になる方は、牡蠣を使った料理や、手軽に食べられる牡蠣の缶詰などを取り入れてみると良いでしょう。
ほかにも、日常的に取り入れやすいごまやアーモンド、チーズ、納豆、豚肉からも亜鉛を補給できます。さまざまな食べ物を取り入れるようにしましょう。
亜鉛の豊富な食べ物を使ったおすすめレシピ
1.旨みたっぷり 牡蠣のガーリックソテー(supported by クラシル)
亜鉛の豊富な牡蠣を使った、ガーリックソテーです。こんがりと焼いた牡蠣の風味が良く、牡蠣のうまみをたっぷり楽しめる1品です。
詳しくはこちら
2.白菜と豚肉のうま煮(supported by クラシル)
亜鉛を含む豚肉を使い、コクのある味付けに仕上げたレシピです。ジューシーな豚肉と白菜の相性が良く、とろりと絡んだ「あん」が絶品です。
詳しくはこちら
意外と身近な亜鉛不足。バランスの良い食事を心掛けよう
亜鉛不足は無理なダイエットや極端な偏食、食事量の低下など、食事の偏りによって起こることがあります。さまざまな影響を引き起こしかねないため、成長期の子供はもちろん、大人やご高齢の方までしっかり補給したいもの。
今回紹介した食材を活用しながら、バランスの良い食生活を心がけましょう。